僕は一輝。
ここ、トナミジムでトレーナーとして働いているんだ。
最近、何だか良く分からないけど調子が良い。
それはきっと2ヶ月前から謙吾さんや
ゲイバーヘルマのマスターに様々な事を教えてもらったからかもしれない。
え、謙吾さんとの仲はどうかって?
謙吾さんとは、アプリでメッセージをしているよー。
でも謙吾さんの仕事が忙しそうだから、邪魔にならない程度にね。笑
ちょっと寂しいけれど、その分仕事に集中、集中!
『お兄さん、お兄さん。』
『あ、はいなんですかー?』
(イカン、イカン、浮かれすぎて変な妄想してた。)
『腰痛に良いマシーンを教えてちょーだい。』
『腰痛ですかー。それだとあのマシンやってみましょうか。』
10分後
『お兄さん、ありがとねー。
やっぱりイケメンの若い子に教えてもらえると元気が出るわ。』
『えへへ。いえいえ。
あ、そろそろグループレッスンの準備をしないと。』
『一輝君、頑張ってるねー。』
『け、けけけ、謙吾さんっっ!!
何でここにー?!』
『なんでって?
いつも行ってるジムがメンテナンスで休みでね。
そういえば、一輝君がここで働いてるっていうから来てみたよ。』
『わー、嬉しーです!!
あ、でも今からグループレッスンしないといけないんで。
そうだ、今日の30分レッスンが終わったら、僕仕事あがりなので、その後一緒にトレーニングしませんか?』
『いいね!俺は今来たばかりだから、ウォーミングアップでもしておくよ。レッスン頑張っておいで。』
『ありがとうございます。
謙吾さんもゆっくりして行ってくださいねー。』
仕事終わり
『お待たせしましたー!!』
『グループレッスンの様子、覗かせてもらったけど、
一輝君輝いてたね。かっこよかったよ。』
『ホントですか、謙吾さんにそんな風に言われると嬉しいです。』
『なんでグループレッスンをするようになったんだい?』
『うーん、やっぱり普通に働いているよりも時給が良くなるからですかねー。』
(そういえば、なんでやってるんだろう?こんな理由だったけ?)
『そっか、そっか。』
『それよりも、謙吾さんって良い体していますよねー。
ベンチプレスどれぐらい挙げるんですか?』
『ありがとう。そうだなー、130kgが最高かな。』
『130㎏!!すごー!!僕なんか70あげるのがやっとなのに……。
なんかコツとかってあるんですか?』
『周りがみんなそんな感じだから、合わせていたらいつの間にかそんなんになっちゃったよ(笑)』
『謙吾さんは仕事もプライベートも充実していて羨ましいです。』
『一輝君はこの仕事楽しくないの?』
『うーん……』
『お客さんに何か教えている時の一輝君はとてもイキイキしていたよ。』
『そうですか?
あ、昔から勉強とかできなかったけど、人に何か教えることって好きだったんですよ。
年下の子に遊びを教えたり、スポーツのコツを教えたりとか。』
『お、いいねー。頼れる兄貴って感じだな。』
『でも最初謙吾さんに会った時に恥ずかしくて言えなかったんですけど、
この仕事を選んだ理由が、こうして無料でトレーニングできるし、体鍛えてモテたいとかだったので。』
『モテたいとか人間の欲求だしね。そんな気にすることないさ。
俺だってモテたい。』
『謙吾さんはもうモテまくりでしょー。』
『さあ、どうだろ?』
『またー(笑)』
『そうだ、一輝君、ベンチが空いたから、サポート頼んでもいいかな?』
『はい、喜んで!!』
謙吾さんのベンチプレスのサポートをしながら
僕は遠い昔の幼い頃を思い出していた。
田舎の町だったから、周りは田んぼや山だらけだった。
勉強はからっきしダメだったけど、遊びやスポーツでは一番だったこと。
流行の遊びをいち早く覚えたり、いろんな遊びを考えてみんなとシェアして楽しんだり、あの時は楽しかったなぁ。
謙吾さんの言葉で、この仕事にも共通点が見つかった。
教えて、周りの人と一緒になって楽しむ。
この仕事を選んだ最初の動機は不純なものだったけど、
僕の心の奥底ではこういうことを本当は望んでいたのかもしれない。
『やっぱり、謙吾さん、凄いっす。』
『ふー、いやいや一輝君の上手なサポートのおかげだよ、ありがとう。
んじゃ、次は一輝君の番だよ。』
『よし、やりまーす!!』
トレーニング終了
『謙吾さん、体力すごいですねー。
僕トレーナーなのに色々アドバイスをもらって、勉強になりました。』
『一輝君のお役にたてて何より。
さ、風呂でも一緒に入りに行こうかー。てか、ここのスタッフさんも風呂使えるの?』
『あ、あそこに支配人がいるので許可もらってきます。
支配人ーーー!!』
『ん、風呂入ってもいいかって?
最近、一輝も頑張っているからな。しゃーないな、今日はお客さんも少ないしいいぞ!!』
『支配人、ありがとうございます!!』
(よっしゃー!!謙吾さんと初のお風呂だー!!)
ジムの風呂にて
『いい湯だなー。風呂を考えた奴、マジですごいなぁ。
ここのジムはいつものとこより、風呂が広くていいなー。』
(うわー、謙吾さんの生裸だ!!やっぱり、色々と大きい。)
(そんなこと考えてたら、やばい。違うこと考えよう……)
『謙吾さん、僕、この仕事を選んだ理由が結構不純なものだったんですけど・・・』
『ん、あー別にいいんじゃない?』
『でも、そんなんでいいのかなぁって。』
『いいよ、いいよ。最初はみんなそんなもんだって。
そこから今日みたいに、最初の原点に気付けるといいんだよ。そこで再定義すればいいしね。』
『そっか。』
『でも、その時にそんなレベルの低い自分を悪いと思って嫌ってはいけないよ。』
『え、そんなブラックな自分忘れた方が良い気がするんですけど。』
『そう思うだろ?
そのよこしまな考えを持った自分がいたから、今こうして気づきがあったんだよ。』
『あ、ほんとだ。』
『あとはそういう自分が嫌いになると、他人のそういう部分も許せなくなったり、不快に思ってしまうんだ。
だから自分の良い面も悪い面も全部愛してあげるといいよ。
そうすると、不思議なことに人間関係もいい方向に変わってくるさ。』
『そうなんですね。なんだか話が難しくて頭が……』
『俺もこの話を最初にされたときは?だったけどなー。
そうだ、次もし良かったら、俺の事務所に来てみるかい?』
『え、良いんですかー?』
『もちろん、一輝君の仕事姿を見せてもらったしなぁ。』
『___って一輝君?』
『わー、楽しみです……
あれ、謙吾さん、なんか……』
謙吾さんの逞しく、大きな身体に見惚れていたのか、
いつもよりジムの風呂の温度が熱かったのか、
今度は謙吾さんの事務所に行けることにテンションが上がったのか、
それとも、様々なことを考えすぎて頭がオーバーヒートしたのか。
僕はそのまま風呂で倒れてしまったみたいだ。
もちろん、僕は支配人からこっぴどく叱られた。
あと、支配人から聞いたんだけど、謙吾さんが僕を抱きかかえて運んでくれてたんだって。
うわー、全然記憶にない。これほどまでに過去の自分を羨んだことがあっただろうか。いや、なかった。
レベル
『過去の自分もあなたの一部』
謙吾の入浴姿にハァハァしちゃったマスターよ☆
さ、そんなことはさておき、今日も「教えてマスター」始めちゃうわ!
人って様々な選択をして生きているの。
あなたが今この文章を読んでいるのも様々な選択の結果からよね。
ワタシがあなたに出会えたのも、きっとあなたが過去に色々悩んできたことがあるからなのかもしれないわ。
そんな色々悩んできた過去ってかっこ悪いなぁ、とか消し去りたいって
結構なかったことにしたり、否定しまうことって多いのよね。
でもそんなことするよりも
『あー、オレこんなことをやってきたんだ。あの時のオレすごいぞ!』
『こういうカッコ悪いことを経験してきたから今の自分がいるんだ』
ってほんの少し考え方を変えるだけでもぜんぜん違うし、
人生の流れが良い方向に変わってくるわ!
よかったら試してみてね☆