『自分の人生を自分で決める……？』
『そう。一輝君は周りに流されている感じがするんだよなぁ。
一輝君がそれで気にしていないなら別にいいんだけどさ。』
『そいういえば、結構周りに流されて行動をしているような気もします。
親から言われて大学の進路を決めたり、明日は仕事なのに友達に誘われてゲイバーやナイトに行ったり……』
『でも周りに流されてもその行動をしようと決めたのは一輝君だよね。』
『はっ!! でも……』
『周りが悪いように感じるかもだけど、実は自分自身に問題があることって多いんだよ。』
『……』
『あはは、そんなに悩まなくても大丈夫だよ。
でも俺なんて23歳の時は何も考えずに、フリーターだったなぁ。それを考えると仕事をしている一輝君は偉いよ。』
『え、そうなんですか？』
『ま、話すと長いからその話は今度にしようか(笑)』
『でも今の謙吾さんが昔僕みたいな感じだったなんて思わなかったなぁ。
有名大学を出て、どこかのエリートリーマンで、めっちゃモテモテだったんだろうなぁって想像してました。(笑)』
『それは言い過ぎだな(笑)』
『えへへ。』
『おっと、ごめん。席を外すよ。』
謙吾さんのスマホが鳴る。どうやら仕事関連の電話のようだ。
どうして謙吾さんは、今まで出会ってきた人たちとは何だか違う気がするんだろう。
どうして謙吾さんは、こんなに輝いて見えるんだろう？
僕とは違って才能があるからなのかな？
どうしてこんな僕に今日は会ってくれたんだろう？
もっと話をしたり、欲を言えばやってみたい、、、
また次も会ってくれるのかな？
そんなことを考えていた。
『ごめん、ごめん。うちの社員から電話がかかってきて、事務所に戻らないといけなくなってしまったよ。』
『お忙しそうですね。
最後に一つ聞いてもいいですか？』
『なんだい？』
『どうして謙吾さんは今日僕に会ってくれたんですか？』
『変なことを聞くなぁ。
可愛いなって思ったのもあるけど、アプリでメッセしているときに昔の俺と同じような雰囲気だったからかな。』
『僕と同じ、、？』
『そう。さっきも話を少ししたけど、結構似てるんじゃないかな？
何がやりたいか解らないし、でも自分で動き出すきっかけが無くてウジウジして、でも周りは幸せそうにしてるのが許せなくて、とかさ？(笑)』
『な、何で、わかるんですか！？』
『まぁ、それなりに経験はしているからなぁ。一輝君はこのままではいけないと思っているんだろう？』
『……はい。』
『変わりたいかい？』
謙吾さんは僕の目をじっと見つめてきた。
僕はさっきまで謙吾さんと話していたことを思い出しつつ、僕の今までのことを思い返していた。
嫌われたくなくて、小さいころから周りに合わせてきたこと。
親の期待に応えようとして、いい子でい続けたこと。
大学を辞めてしまってからフラフラと今の仕事をしていること。
目の前の現実を受け入れないといけないのに、そこから目を逸らして友達と遊んだり、刺激的な遊びをしまうこと。
それでも満たされない僕自身。
今のままでは将来が不安なのに、どうしたら良いか解らない。
僕はどうしたら良いのだろう。
謙吾さんと一緒にいたら何か変わるかもしれない。
でも、なんだか怖い……
僕なんかが変われるのだろうか……？
でも……でも……僕……
『……。』
『……。』
『僕、、、変わりたいです。』
『お、その言葉が出せる一輝君スゴイよ。
人ってさ、変化をするときって怖いものだけど、でも、その小さな勇気が必要なんだ。』
『はい。』
『じゃあ、次はここで会おうか。』
一枚のカードを渡される一輝。そこには
【BAR HELMA】
『バーヘルマ？』
『そ、今度の木曜日の夜7時にそこで待ち合わせをしよう。いいかい？』
『は、はい。』
『それじゃ、また。今日はありがとう。』
自分が変わるとかそんなことより、謙吾さんとまた会えることがすごく嬉しかった。
夜に会えるということはその後、ワンチャンあるかな？
そんな馬鹿げた淡い期待を抱く僕は、この出会いが僕の人生を大きく変えることなんて微塵も思っていなかった───。
レベル
『小さな勇気から始める。』
はーい、ワタシはバーヘルマのマスターゆうた☆
登場は次回からなんだけど、ここでフライングしちゃうわw
何かを決断する時、必ず人って葛藤するし、悩むわ。
「今日のお昼ご飯は何にしよう？」という些細なことから
「今の仕事を辞めて、新しく自分のやりたい仕事をしたいけど、将来が不安。」という大きなこと。
あなたも大なり小なり、悩むことがたくさんあると思うけど、そういう時どうしてるのかしら？
え、思いつかないですって？
悩むということは、「変わりたい」っていう自分が心の中にきっといるはず。
今のまま変わらない自分を選ぶのか。
それとも
今の自分とおさらばして、新しい道へと進むのか。
どっちが自分にとって心がときめくかどうかで選んでみるのはどうかしら？
大きく変わろうとしなくて良いの。
小さなことから少しづつがポイントよ！
