やぁ、僕は一輝。
今日は久々に会う友達のヒカルと一緒にゲイバーヘルマに来たよ。
『あらー、謙吾が一輝君の働いてるジムに来て、一輝君と一緒にお風呂入ったの?』
『えへへ、そうなんですよー。』
『楽しそうね、ワタシも今度一輝君の全裸姿見に行こうかしら?』
『いやー恥ずかしいですから、って見せませんよー。』
『一輝は、良いよなー。良い出会いがあって。』
こいつはヒカル。歳はちょっと上。
僕とは違って、商社マンで年収もめっちゃ高いみたい。
体も鍛えていて、オシャレ。
ちょっと死語かもしれないけど、イケイケなシャイニーゲイって感じかな?
でも今日は何だか浮かない表情をしているなぁ。
『ヒカル、あんたもこの間一緒に来ていた子とはどうなったのよ?』
『あんな奴、一発やってそれだけさ。あー、他にイイ男いないかなー。』
『あんた、またそれ?そんなことしてたらどんどん歳老いて売れなくなっちゃうわよー。』
『俺の勝手だろ。』
『もー、可愛くないんだから。』
『んで、一輝は今度彼の事務所に行くんだって?』
『そうそう。』
『羨ましいなぁ。俺もそんな出会いないかなー?てか、もうヤッた?』
『そんなんじゃないよー。ヒカルはカッコいいし、お金もあるじゃん。』
『それだけじゃ、満たされないんだよ。』
『僕とは違って、ゲイの友達もたくさんいるし、よくインスタにパーティー写真とかそんなん載っけてるし。』
『そうそう。私もその若いシャイニーなパーチーに一度お邪魔してみたいわー。』
『ただの付き合い程度だよ。』
『あら、そうなの?楽しくないの?』
『楽しいけど、なんか足りなくて。』
『なら、そんなの行かなければいいじゃない。
行って虚しさ感じるなら行く必要ないわ。』
『そんなの無理だよ!』
『なんでそう思うの?』
『なんでって…周りに合わせとかないと不安だし。』
『あら、あんたも一輝君と変わらないわね。』
『それってどういうこと?
ヒカルは僕よりも仕事が出来て、人間関係も多いのに?』
『そうね。自分がこうしたいっていう軸が無いところね。』
『自分の軸?』
『自分がやりたいじゃなくて、あなた、それ、周りに流されてやってるのよ。』
『なんだか満たされない原因ってそれなのかな?』
『そうかもね。
自分がやりたいことをやれば、周りに流されなくなるわ。』
『それってかっこよさそう。』
『そもそも、どうしてヒカルは今の仕事をしているわけ?』
『え、だってお金を一杯稼げるから。』
『そうね、どうしてヒカルはお金をたくさん稼ぎたかったの?』
『んー、年収高いとかっこいいし、周りからモテるだろ?
てか、そんなこと深く考えたことも無いし….。』
『そうよね、なかなか考えることが無いわ。
だからこそ、今言っちゃいなさーい。』
『んー。
オレ、片親で、貧乏な家庭で育ってさ。母親が一生懸命育ててくれてさ。』
『え、それ知らなかった。』
『そんな母親に恩返ししたいけど、オレ、ゲイだからさ。
親に孝行できるって言ったらそれしかなくてさ…。』
『そっか。ヒカルはママさんに恩返しがしたいのね。』
『でも、マスターに聞かれるまで、そんなことすっかり忘れかけてた。
仕事の忙しさや、ストレスから満たされるためにクラブ行ったり、男ひっかけて遊んだり。』
『親孝行ってお金だけじゃないのよ。
最大の親孝行っていうのは、子どもが幸せに生きることなのよ。』
『オレが…幸せに生きる?』
『ワタシだってここで働いて、巣立っていったスタッフが幸せに過ごしてるって話を聞くと嬉しいわ。』
『…..オレ、幸せになっていいのかな?』
『そうよ、ヒカルは幸せになっていいのよー。
もちろん、一輝君もね。』
『….オレ、南の島で好きな人とのんびり暮らして幸せになりたい。』
『あら、いいじゃなーい。
人って本当はやりたいことがあるのに、平気で自分自身に対して嘘をついて、やりたくないことをやっちゃうの。
でも、ヒカルにとって好きな人とほんわかしたいってことがチョーときめくなら、それに向かって動いていけばいいの。
親孝行したいってことならそれをすればいいの。
名付けて「心ときめきDOKIDOKI大作戦」よ!!』
『マスター、その作戦名、なんかチョーださい!!』
『おだまりっ!!』
『でもありがと。
マスターのおかげでなんか元気出た。』
『アレ、なんか、さっきよりヒカルの表情イキイキしてない?』
『だろ?オレはいつでもイケメンだからな(笑)』
『あ、南の島で思い出したのだけど、
この間、沖縄の知り合いからなかなか手に入らない泡盛をもらったのー。
どう?一杯おごるわよ?』
『うぇーい、マスター最高!!』
『今日は特別!ヒカルの話ももっと聞いていくわよー!!』
ヒカルって悩みが無いように思っていたんだけど、実は僕と同じように悩みがあったことに驚きだった。
ゲイシーンで活躍しているああいうキラキラ輝いて見える人たちも、実はたくさんのことで悩んでいるのかもしれない。
周りも同じようにキラキラしている中で、一緒になることで自分自身を満たして自分自身を保たせているのかもしれない。
謙吾さんや、マスターはそんな人たちとは違う輝きを持っている感じがする。
それが自分の軸を持って生きるということなのかな?
最終電車に乗りながら、マスターと話していくヒカルの表情が、いつもより安心してほんわかとした表情になっていく姿を見て、僕はひとりそんなことを考えていたんだ。
レベル
『自分らしさって』
やっほー!お待たせ、『教えてマスター』の時間よ☆
今回のお話、ワタシ、チョーイイ事言ってない?
え、分かんなかったの?ちょっと、もう一度読み直して出直していらっしゃいw
読み直してきた?w
今回はココがポイント!!
『人ってね、平気で自分自身に対して嘘をついちゃうのよね。』
ココ、今度のテストに出すからちゃんと覚えておいてw
本当はやりたいことがあるのに、周りに流されてしまったり、目指していた理想の自分が、本当はなりたい自分ではなく、周りからの期待に応えるための姿だったり。
今回はヒカルに対して『心ときめきDOKIDOKI大作戦』を提案してみたのだけど、
ここまで読んでくれたあなたには、特別に自分の才能の見つけ方を教えるわ!
自分の才能を見つけることで周りに流されない生き方ができると思うの。
例えば、誰かに止められたり、禁止されても、なんとなくやってしまうことってないかしら?
例えばワタシだったら、
『今度のバーの周年イベントは何を企画しようかな?』
『どうやったらお客さんが常に楽しい時間を過ごしてもらえるか』
と、いつの間にか自然と考えているの。
それってワタシだからこそ考えるし、ワタシじゃないと考えないのよね。
気分が良い時や悪いときでも、どんな時でも、『ワタシだからやって当たり前』のことなの。
こんな風に歯磨きをするくらい当たり前のようにやることって、十分にワタシらしさであるし、それって1つの才能よね。
是非、あなたの『当たり前のこと』探してみて☆